田舎女医の小言

外科医やってます。人生で溜まったネタを放出していきます。

ゴールデンウィークの病院事情

ゴールデンウィークですね。

カレンダー上のお休み期間、病院がどうなっているか皆様ご存知でしょうか。

 

平日の病院業務

  • ふつうの外来
  • 予定された検査
  • 予定された手術
  • 治療方針を決めるカンファレンス
  • 入院患者の対応(回診、検査、予定された治療あれこれ)
  • 緊急・臨時の検査や処置
  • 緊急手術

 

ここら辺が、医師らしい業務です。

 

他にも、書類作成、運営系の会議、職員向けの講習会などなど。

 

平日の病院メンバー

フル装備

 

医師の常勤メンバーは勢ぞろい、色んな技能を持った人が病院にいる。

看護師もばっちり。

検査技師、薬剤師も、たくさん。

事務職員、看護助手、清掃、メッセンジャー、警備なども勿論。

 

豊富な人員でがっつり、病院業務を回します。

 

大きな総合病院だけじゃなく

街中の開業医だってばっちりやってます。

 

休日の病院業務

  • ふつうの外来
  • 予定された検査
  • 予定された手術
  • 治療方針を決めるカンファレンス
  • 入院患者の治療(回診、臨時で必要になった治療)
  • 緊急・臨時の検査や処置
  • 緊急手術
  • 救急外来

 

予定をたてられるものは、全部、外します。

入院患者さんは、絶え間なく生きてらっしゃいますので、様子は毎日みます。

でも、特別急ぐ必要がない限り大きな処置や手術はしません。

 

緊急で、今、命に関わるものだけ、残ります。

 

休日の病院メンバー

貧弱です。

 

医師1名(小さい病院だと本当に1人。大きい病院だと救急外来1~数名、各科1人or必要なとき電話で呼び出し)

看護師は平日より少な目

薬剤師、検査技師はゼロ(必要なときに電話呼び出し)~数名。

事務職員、看護助手、清掃、メッセンジャーは、ゼロ~少な目

 

つまり、人は病院業務がまわせる最低限だけいます。

マンパワーめっちゃ弱い。

 

各専門科のエキスパートが揃っていることは、ほぼない。

 

でも、こうやって、休日は当番制にしないと

医療機関は常にMAXパワーでいることになります。

誰も休みがとれないことになります。

 

無理ですね。

なので土日夜間は当番制、最低限の人数にして、順番にお休みしています。

(医師の場合、この体制にしても、緊急の多さなどで結局、休みがあんまりないことも…。人員強化とボスによる工夫が必要です)

 

大学医局員の土日

大学病院などに入院したことある人は、

若い医者が案外土日に来ないと思うかもしれません。

でも、彼らは休んでいるわけではありません。

 

関連病院と呼ばれる、大学医局が人事権等をもっている病院に

手伝いに行ってるのです。

参考:医局って何さ①権力組織?教育機関?

 

常勤医(正社員という認識でOK)が少ない病院だと

そこにいる人だけで、日直、当直、待機を行うことはかなり厳しいです。

 

入院ベッドがある限り、医師が1人常駐する必要があります。 

常勤医が10人を切るような病院でも、例外はありません。

(常勤医10人でも、当直免除の高齢医師も多く、実際当直できる人数はとても少ない)

そういう所を、お助けするべく大学医局員が派遣されるのです。

 

私も、あちこち泊まり歩きました。

 

ちなみに

集中治療室系のICU,NICUや

いつでも陣痛が起こる産婦人科などは、特別枠です。

 

病院全体ではなく、

集中治療室、産婦人科、それぞれで「専門の医師が常にいる」状態になります。

これまた、それを担う先生たちは大変なんです。

 

休日の当番≒救急外来

「常に」ではありませんが、「結構」この図式があてはまります。

貧弱装備の病院で、救急外来もやっているのです。

 

23人常勤医がいてシフト制の救急外来

という夢のような病院もあるようですが、日本には殆どありません。

 

大抵は

医師1名と看護師2名

という、貧相な装備で戦っています。

 

「土日、夜間に特別具合が悪くなった」で受診。

構いません。

そのための救急外来です。

 

「普段いけないから、休日の救急外来受診しよう」

これ、やめてください。

というかおススメできません。

 

休日の病院の 人員は貧弱です。

各専門のエキスパートが揃っていることはまずない。

また、検査技師も最低限しかいなくて、詳しい検査は基本的にできない。

 

平日より、パフォーマンスが落ちた医療しか受けられない。

 

「今日はこれ以上の検査できないので、また専門医受診してください」となるパターンも結構多いです。

薬剤師もいないので、出せる薬のバリエーションも少ないです。

 

長い期間悩んでいる症状は、平日の病院へ!!

これ基本です。

 

「救急」外来…

今すぐ命に関わる人に対応するためにあいてます。

 

でも、ゴールデンウィークなどの大型連休では、

街中の開業医が長くお休みするのでカゼなどの軽症の方も、殺到します。

この中に紛れ込む重症患者を拾いあげつつ、

命を失わないようにマネジメントするので手一杯です。

 

そんなときに

「何週間も前から、具合悪くて…」と言われると

その期間、我慢できたなら「救急」外来くるのはやめてくれ、と正直思います。

急激に、悪化してきたのなら、わかるんですけども。

 

 

大型連休のたびに思うこと

どうか、皆さまが

無病息災で

ゴールデンウィークを過ごせますように!!

 

大型連休の、人員が少ない病院にくるのなんて

いいこと、ないです。