ファンタジーすぎるDr.X①
きっかけ
「どう現実と違うのか教えてくれ」と友人に頼まれて、Dr.Xを初めて見た。
シリーズ5まである人気作だが、未視聴。
数年前に、CMで流れてきたナレーション、キャッチコピー、手術シーン数秒で、違和感てんこもりで見る気が失せていたのだ。
かなり我慢しましたが、それでも数話見るのが限界だった。
きつかったです。
権力vs一匹狼という構図が、面白いドラマなのはわかりました。
だがしかし。
きっつかったです。
つっこみどころ
- 日本じゃない
- 病気の概念がおかしい(特に癌)
- 手術シーンが適当すぎる(手術室前の段階でアウト)
- 決め台詞が無茶苦茶ださい(「失敗しないので」の方じゃない)
- ”フリーランス軍団”、遊びすぎ。
- 医局軍団も暇すぎ。無能すぎ。
- 悪の権力組織ww( ^ω^)・・・
- 手術一つで大騒ぎしすぎ
- 病院一つの人事で一喜一憂しすぎ
- 医局に属してない医師は今現在結構いる。フリーランス????
きりがないのでとりあえず、ここで止めます。
何回かに分けて、上から順に具体的に説明していきます。
1.日本じゃない
社会保険制度が、どう見ても日本じゃなかった。
・日本の手厚い社会保険制度がない
日本は国民皆保険です。
サラリーマンは給料から保険料天引きされてますよね?自営業の方も払いますよね?
日本人は、ほぼ、みんな、保険に入っています。
その保険料などの税金が、医療費にあてられます。
おかげでふつうは3割の値段、75歳以上は1割の値段で医療が受けられます。
生活保護の方は0割です。タダです。
市町村によっては、子供もタダです。
標準治療=効果があると医学的にわかっている治療は、保険適応です。
日本は収入の多さに全く関係なく、全員、同レベルの医療が受けられます。
で、一定額以上になると高額医療費制度が適応されます。1カ月の限度額を超えると、国から支給されるんですよ。
これ、欧米人から「日本は社会主義だったの?」と言われます。
保険適応外の治療って、効果が証明されてない医療です。そのために高額の民間の医療保険に入るのは…難しいところです。
しかし、Dr.Xでは
金持ちが「金なら払うからどうにかしろ」的なシーンや
そうでもない人が「俺みたいな、金にならない患者は、病院はどうでもいいんだっ」と、いじけるシーンがあります。
「みんな提供される医療は同じですからっっ!
その料金は、国民みんなで払った税金や保険料から来ますから!ご心配なく!」
と、日本なら言えます。日本なら。
これをDr.Xの世界では誰も言わないので、おそらく日本じゃないのでしょう。
・治療の値段は国が決めている
日本では、各治療ごとに点数=値段が国によって決められています。
1点→10円
こういう分厚い本があって、ここに全部書いてます。
ネットでも調べられます。
ここで具体例を一つ。
ドラマ内での手術、保険点数表では
手術名:肝門部胆管悪性腫瘍手術 血行再建あり 180,990点
つまり、1,809,900円 。
手術一つで約180万円。これが、国から病院に払われる。
使い捨ての手術器具あれこれ使うので、病院に入る利益は120-140万。下手するともっと低いかも。
これだけ見ても
手術一つで、1000~2000万円を要求するDr.Xは意味不明。
そもそも、上記の180万円は、病院全体への収入であって、医師個人には絶対こない。どんな手術を、どれぐらいやろうとも、医師の給料には反映されません。
加えて、人的資源の関わり方を考えても、どうやったって数千万は捻出できない。
手術には、執刀医、助手1、助手2、看護師1~2人、麻酔科医が関わる。
手術前後の入院期間も、たくさんのスタッフが関わる。しかし、手術以上の収入源となるような治療は、あとはない。
そもそも収支が赤字になってる病院は結構あります。税金を投入して、医療資源を保っているんです。
なので、Dr.Xが関わった病院は確実に潰れます。
患者に請求がいっているとしたら、Dr.Xこそ金持ちしか治療しない医者です。
病院は潰すし、収入で患者は選ぶし、むしろ社会の敵です。
個人的には「外来も術後管理も当直もしないのかーーっ!患者を診ろーーー!」と怒りがわきました。
長くなったので、また別記事で書きます。
勧善懲悪ドラマとして面白いのはわかりましたよ。
しかし、日本じゃないし、医療じゃなかった。
ファンタジーすぎるDr.Xシリーズ