田舎女医の小言

外科医やってます。人生で溜まったネタを放出していきます。

医者の不養生〜60代の大酒家女医〜

友人(本人は非医療系)の母の話です。
あまりに面白かったので、ブログに書いていいか?と尋ねました。

「むしろ笑い話にでもしてくれ」
と盛大な許可を頂きました。

 

久しぶりに友人に会った

友人の母は、60代、女医。今もバリバリと働いていらっしゃいます。
友人いわく「マグロ。働いてないと死ぬ」と。

 

ある病気を患ってますが、入院中もベッドで仕事していたとか。退院後も仕事しまくり酒飲みまくりだそうです。

すげー…( ;∀;)

 

仕事人間、大酒飲み。
しばしば見かける医者の姿です。
特に上の世代に多いかな。

 

そんな友人に久しぶりに会いました。

 

友人  「うちの母ね。3回骨折したのよ」
とーこ「えええ!!??な、なにか骨が弱くなるような薬でも飲んでんの?」
友人 「うん。◯◯やって、それ系の薬飲んでる」
とーこ「うお。そーか。大変だったね…」
友人 「違うの。自業自得なの」
とーこ「へ?」
友人 「酒飲みすぎなの。骨弱くなるのわかってるくせに、昔と変わらず意識なくなるまで飲むの!そんで転ぶの!医者のくせに!!」
とーこ「……ごめん、医者って大抵そんなかも

医者って、けっこう不養生っす。

 

酔っ払い外傷

救急外来で働いていると、結構会います。

 

あ。えっと、ちょっと解説。

私は救急医ってわけじゃないです。

夜間の「すぐ処置しないと命に関わる人」のために病院に泊まる業務があるんです。

当直ですね。

 

救急指定されてる病院だと、当直=救急外来になります。小さい病院では入院患者さんに対応するだけのこともあります。

(ちなみに、当直明けは、そのまま日常業務やるよ☆)

 

 

で、酔っ払い外傷ですけど

酒飲みすぎて、泥酔して、転んで、怪我する。

まあ、そのまんまです。

 

なんか知らんけど、ほぼ全員60歳以上です。

70代以上がメイン。60代は少なめ。

それ以下は、めっったにない。

多分、若いと泥酔してても、そこまでの怪我はしないんでしょう。

 

店出たところでこける

椅子に座り損ねる

自転車でどっかぶつかる

 

この時、とっさに身を守れず、怪我しちゃうのが大体60代以上。

頭部の軽傷多し。

 

 

 

元々大酒飲みのお母さま。

酒量は、引退が近くなった現在も変わらず。

 

飲み会では泥酔するまで飲み、手慣れた同僚・部下により、タクシーで家に送り届けられるのがいつものパターンだそう。

申し訳ないけど、

孫がいるような女医が、毎回泥酔して帰宅とかいう時点で、かなり笑ってしまった。

 

とーこ「それぐらい豪快になりたい」

友人 「やめろw」

 

 

とある日も、友人母は、泥酔して帰宅。

その日は、家にほかに誰も居なかった(子供達は独立済)

 

 

………(暗転)

 

翌朝起きると、歩けない!

豪傑の友人母も、さすがに焦る。

 

勤務先に入院することになったが、原因がわからない!!

 

明らかに痛いところもなく、ただ歩けない。

精神的なものではないか……(その頃、仕事もプライベートも大変な時期だった)

と、なったその時、誰かが気づいた。

 

 

前日、記憶がなくなるまで飲んでいた。

 

 

泥酔・60代オーバー・歩けない

絶対転んでる。

 

 

で、結局、小さい骨が一つ折れてたそうで。 

 

そういう時、痛いところ、はっきりしないパターン確かにあります。

見た目も、あまり変わりませんし。

 

 

友人「人騒がせにもほどがある…!!」

ちなみに、それまでの骨折2回は、

転んだ記憶があり、明らかに痛いところがあったそうです。

 

 

友人 「そのうち、酔っ払って頭打って死ぬ。その死に方が、どんだけ面倒くさいか、わかってるくせに!!」  

とーこ「ああー。うーん…」 

 

明らかな病死以外(異常死)だと、検死・検案が必要になって、さらに場合によっては警察に届け出が必要になります。

その後、さらに原因究明のため、解剖ということもある。

 

つまり、酔っ払って怪我で死ぬと、救急隊だけでなく医師、警察官……などなど、他人の手をめちゃくちゃ煩わす可能性があるってことです。

 

それにしても、友人は医療系じゃないのに詳しい。多分、自身の母に、愚痴られてたんでしょうけど。

 

友人 「『あれー?仕事来ませんねー?』→家で死んでるの発見、ってなる。絶対なる…!!」

とーこ「うーん、確かに異常死は……家族も辛いしね。階段とか、段差なくすってわけにもいかないか」

友人 「うちの実家、無駄に頑丈に作られてて、リフォーム難しいみたい」

とーこ「……酒減らすのは」

友人 「無理でしょう。依存レベルだもの」

とーこ「まあ、中の人いるから、今こそ飲んでないけど、私もソフトアル中だからなー。あんま人のこと言えないw」

友人 「うちの母、妊娠中も飲んでた」 

とーこ「おおう……」

友人 「もう、骨折ぐらいだと誰も心配しなくなっちゃった。突然死なれる覚悟もできちゃった」

とーこ「……覚悟しといた方がいいかもね。まあ、医者って不養生な人多いし、病気しても大事にしない人、多いかもしれないなぁ」

 

あ、全員じゃないですからね! 

ちゃんと自身の体調管理、ケアしてる医師も、いますから。

 

小心者としては、豪快な友人母にちょっと憧れたりもするのでした。

女性の社会進出が進んでいない時代に、仕事・子育て両立した女医ってスーパーウーマンしかいないのです。

 

ていくほーむめっせーじ

酒は年とともに減らそう、やめよう

医者は結構不養生