田舎女医の小言

外科医やってます。人生で溜まったネタを放出していきます。

田舎(医療)徒然③田んぼにつっこむ高齢ドライバー

過疎地域の診療所、小さな病院にお手伝いに行くことがしばしばあります。

町立病院勤務&診療所・介護施設往診めぐりも、したことがあります。

 

そこで考えた車徒然。

 

 

田舎の移動は車

ひたすら車です車。

「市」なら車がなくても工夫次第でどうにかなりますが

「村」になってくると移動手段は、本当に車です。

 電車もバスも数時間に1本ですし、そんなに駅も停留所も張り巡らされていません。

 

どうしても自家用車の割合が高くなります。

我が家も車持ちであります。

 

町立病院から、あちこちの村へ診察に

常勤医が5人程度の「町立」の病院で働いていた期間は

週1〜2で、別のいろんな診療所や老人保健施設・介護施設に「手伝い」にいきました。

 

このときの移動も車です。

病院お抱え運転手さんに、あちこちに連れて行ってもらうのです。

運転手さんがまたいい人だったな。

往診の日に寄る小さな飲食店が、まさに新鮮食材地産地消で、むちゃくちゃ美味しかった…

 

田んぼと高齢ドライバー

晴れた初夏の日。

美しい青田の中を走行中、ああいい天気だなぁと思いながら空を眺めていると

運転手さんが言いました。

 

運転手「先生。車が落ちてる」

私「はい?」

 

前を見ると

道路から、一段低い田んぼにつっこんでる、車が一台。

 

ーーーええええぇ、けが人は?

と探すと、乗車していたと思われる老人が二人いました。

 

運転手さんに車を停めていただき、

事情聴取というか、簡単な診察(?)。

幸い二人とも、ほぼ無傷。元気。

これから町立病院に向かうところだったとのこと。

間違えて田んぼに落っこちたとのこと。

 

すでに警察などの手配は済んでおり、ほどなく

警察車両などが到着したので引き継いで立ち去りました。

 

こんな感じで

田んぼや畑につっこんでる自家用車を、1ヶ月で2回見ました。

いずれもドライバーは75歳以上の高齢者でした。

 

 

 

他にも

 

危なっかしい動きをしている車をしばしば見ました。

 

その度に

「あれ、免許返納しないとダメだわ」

と私がつぶやくと

病院運転手さんは、激しく頷いてくれました。

 

 

生活スタイルを変えないと加害者になる

田舎は足がないのも事実。

しかし、高齢者が運転せざるを得ない生活スタイルは、無理があるんじゃないか……

と、このときに痛感しました。

私は幸い誰かが死傷する事故現場にはあいませんでしたが、偶々でしょう、ね。

 

 

ニュースで高齢ドライバーの事故を見る度に

なんともいえない悲しい気持ちになります。

 

人間は生きていれば必ず老います。

判断力も落ちます。視力も、聴力も。

車は便利だけど、殺傷可能な道具でもあります。

 

だから、必ず、運転はいつかやめなければいけません。

というか、若者の車離れって別にいいんじゃないですかね…人を加害するリスクが減るんですから。維持費考えるとタクシーの方が安い場合が多いのですし。

 

高齢ドライバーの事故が後をたたないので

そのうち規制は強化されるでしょう。

しかし、待っている間に、自分や親族が加害者になりかねません。

 

現時点だと

75歳以上の高齢ドライバーが認知症だと診断されると、免許証は停止または取り消し(2017年3月12日施行快晴道路交通法)

です。

 

実際体感した身としては、

認知症と診断されていなくても、危ないです

 

まずは、身近なところからで

自分と親族が、何歳に運転免許をやめるか決めておきたいですね。

 

ちなみに

高齢になればなるほど

家族の説得だけで運転をやめてくれる人は稀なようです。

 

なので、

判断力がある年齢のうちに、決めることが大事です。

可能であれば50〜60代あたりでしょうか……

そうしないと、生活スタイルの変更も間に合いませんし。

 

どうか、車を持っている方は、ご一考くださいませ。

 

 

これを書いていて思いましたが

少しずつ過疎地域から、戦略的に撤退し、小さな都市に集約することを

少子高齢化社会では考える必要があるのでしょうね。

有効な少子化対策が行われている感じもないし、今から赤子が増えたとしても、しばらくは若者が少ないターンは続きますし…。